いよいよ引っ越しを考えていたが、引っ越すのをやめた。
部屋の電球のW数を変えてみたら万事解決してしまったのだ。
恥ずかしい。非常に恥ずかしい。
一度、臍を固めたソレが全てマイムであったのだ。
決心は時に決心しただけで満足してしまうという恐ろしさがある。
己の怠惰を打ち破らない限り、結果は何も成さない。
「臍固め、マイムにならざるがごとし」。雑魚ことわざの誕生である。
○
私に誇れるものは何もないが、強いて言えば、偏頭痛が引き起こされる原因の数は誰よりもあると自負している。
ものによっては本当に言語化できない。無理やりしてみると「絶対に埋まらない淵、または溝」を見ると一瞬にして痛みが引き起こされる。
絶対に伝わらないだろう。小学生の頃より車のドリンクホルダーや、窓を開け閉めするスイッチの近くの謎のホルダーなどみると(想像するだけで)痛みが発生する。
母親がピアノの先生という音楽をやる上でこの上ないアドバンテージを誇る家庭に生まれ育ったというものの、楽譜の五線譜も見るだけで偏頭痛は起こる。
結果、エレクトーンでパイレーツオブカリビアンの「彼こそが海賊」を発表会で弾ききって私の大鍵盤航海時代の幕は閉じた。
溝、淵、閉所、細かいものを見ると、きっとくる〜♪きっとくる〜♪と耳元でなくおでこで囁かれるのがもうエブリデイカチューシャなのである。
そして、光。これも厄介である。
○
LEDライトが普及してから、私の偏頭痛はさらに暴徒化した。町の光度が変わるのである。私のギズモから悪戯好きのグレムリンが爆誕である。
眉間が痛い痛い。
ショップなどの商品をきれいに見せるための白い空間に棚も、もう天敵である。
今後もテクノロジーが発展するたびに偏頭痛の痛みは増していくことだろう。
しかし、私はそれに厭わない。どんどん未来に連れてっておくれよ。光の、もう目が開けられない、そんな閃光の未来へ──。
○
私の部屋の電球はとことん暗い。
エロい部屋よりも暗い。とことん暗いのだ
部屋の照明は私の身体に合わず、リサイクルショップでゲットしたスタンドライト?をロフトに置いて、それを部屋の元光としている。
買った時のw数も覚えていないため、近くのスーパーでの一期一会で、私の部屋を夜の暗闇から守ってくれた。
そんな一期一会の出会いから早一年、そんな彼は命を消耗してしまいポツンと光を失ってしまった。
私は忘れることができず、代替品でその心の傷を埋めることもできなかった。
長い間、私の机上の空論をただ一人見届けてくれてありがとう。
あなたとの幾度と無い夜を、私、忘れないわ。
物理的にあの優しい光の光量を超えなければ、私は過去に依存をしてしまうところであった。
そう、つまりはいつもよりw数の高い電球を買ったのだ。
○
もうびっくり、どんな夜でもちゃんと本、漫画が読める。
今思い返せば、暗すぎて毎回スマホのライトをプラスして読んでいた。
そして、ここまでも孤独かと思わされる夜夜。
もう、w数を変えるだけで毎日もうパーティー☆である。
そして、引っ越しのための諸々を考えた途端に、全てが面倒になった。←
別に、引っ越しても今作りたい作品たちがオートで生まれることもないし。←←←
五畳半の旅はつづくったらつづく。