こしあん日記(Koshiahh’s Diary)

MURABANKU。の土屋慈人の日常系

アルカイックにやにや(01.14)

目が覚める前、微睡む瞼に差し込む光の量がいつもと違う。

あ、昨日泊めさせてもらったんだった。

 


そう気づくも寝袋に包まりながら、起きるのを諦めて二度寝をした。

向こうで寝ている先輩・Eニキからも同じ二度寝を決め込む、そんな空気感を感じた。

 


炬燵の横のスペース。もしもそこが鬼のいる間だったとしても私はそれに全く気づかないくらいに爆睡していた。

寝るの少し飽きて身体を伸ばす。すると、午前の日差しが大きい窓に光っていた。

 


その脇には、マリオをはじめとしたゲームキャラたちがたち並んでいる。

そう、ここは我らがEニキの城(彼曰く)なのである。

 


 


昨夜、下北沢でのライブ後に泊めさせてもらったのだ。

彼は前のバイト先が同じで、目的が特になくてもなぜか共に過ごせる不思議な仲が続いている。

彼の最初の印象はアニメイトの"アニメ店長"。

 


とにかくゲーム愛が強く、昨夜も例に漏れずど深夜に「ワッフー!」「ピーポーハーバーロッテンデイ」とマリオたちの初代声優であるチャールズ・マーティネーの声真似修行しながら、スマブラから最近おすすめだというゲームをプレイした。

 


Eニキは飯を作るプロでもあり今回はなんともつ鍋を作ってくれた。

新作「マリオワンダー」の魅力を語り、マリオ過去作で好きなタイトルトップ3を考え、TV画面で流れる「わしゃがなTV」をぼんやりと見ながら食べる飯は最高にうまかった。

 


いやあ、本当に「マリオワンダー」が面白すぎる。

もったいないけど、早く全クリしなければやらなきゃいけないことが進まない。

本当に度肝を抜かれちまったね。

ゾウマリオが当たり前になっていく世の中が、もうストレンジすぎてかっこいいのである。

 


Eニキが寝た後は、PS5のスパイダーマンをプレイした。

家にPS5を持っていなくて「友人の部屋だけで進められるゲーム」という感覚は懐かしくも楽しかった。

 


そうして気がつくと朝になっていて、気がつくとお昼前になっていた。

そして、気がつくと内見をする約束の時間になり、Eニキにも付き合ってもらい新居となり得る可能性がある2件の物件を見に行った。

 


 


現在の私が住んでいるのは五畳半に二畳のロフトがついている1Kの部屋。

とにかく家賃が安く助かっているのだが、光が差さなければ風の巡りも悪い、というか無い。

 


そろそろ、引っ越すかあなんてぼんやり思っていたのだが、ついに引っ越そうかとようやく思い腰を上げることにしたのだ。

 


ゴーイースト。かねてから好きなとある街に住んでみようかと考えている。

都心までもチャリンコで20分くらいといった、本格的に電車移動をカットした生活が送れそうで非常にワクワクする。

 


ここにしようかなあなんて話しながらEニキと周りを散策するとなんとアイスクリーム屋さんを発見した。

 


何にしようかなとボードを眺めていると、Eニキが少し遅れて到着した。

彼はアルカイックにやにやとでも言えるような表情をしており、どうしたの?と聞くと小学生に囲まれて「マリオだー!」とひと盛り上がりがあったそうだ。

彼はUSJにてゲットできるマリオのアウターを着ていた。

 


ワッフー!ってチャールズマーティネーのモノマネやった?と聞くと彼はただ終始微笑むだけであったという。惜しい!!

しかし、すれ違う小学生も反応しちゃうくらいにマリオってスターだよなあと私もニヤニヤしてしまった。

 


それは、ファンとしての嬉しさ、そしてあのストレンジな世界観が当たり前となっている我々の日常ってやっぱどこか変だ。

こういう時に、まだ世の中は捨てたもんじゃないぞと希望が持てる。

 


 


解散して夕暮れる吉祥寺へと到着した。

そして、ギタリストのマオさんと本当に久しぶりに再開しお茶をした。

 


マオさんはもともと近所に住んでいて、そろそろ引っ越そうかななんて話をした。

すると彼は「あそこは早く引っ越したほうがよいよ」と。当時からあの部屋で大丈夫なのか心配だったが、土屋くんに聞くと「そうですけど、諸々便利なんで」と言っていたそうだ。

 

 

 

便利なんで!?!?!?

 

 

 

どんな理由だ。

そして、それは一体どういう理由だったのだろう。

目の前に集中するために、無視するところは無視しないと上手くいかない。

そのために私は生活を後回しに、疎かにしていたのだろう。

 


これから、生活を優先するわけにはいかないが、今よりはちゃんと上手く融合させてみたい。

なぜか今はそう思っている。

 


 


マオさんとも気付けば3時間ほど話していた。

お互いにどうやって自分の身を乗りこなして行くか。

それは、全てやっていかないことには始まらないが、お互いに去年の真ん中から準備ができており、あとはやるだけだね、なんて話をした。

私はマオさんの作品がとても楽しみである。

 


寒すぎる風を切り、吉祥寺から住宅地を抜けていつもの部屋へ一人もり漕ぐ。

この道のアスファルトともそう長くないのかなと思うとやはりどこか寂しい。

けれど、光はちゃんと必要である。

 

昼と夜が逆になった生活をしている人間が言えた話ではないけどね。

しかし、何かがあるような、そんな気がする。

どこかずっとアルカイックにやにやしながら。