ビルを隔てる空も暗がる新宿の人混みを歩いていく。
昨日のMV会議の帰り、長時間ぐるぐるとアイディアを出し合った私たちの脳は酸素を欲しがっていた。
二人と解散してから一人で映画を観て帰ろっかなあと思っていたのだが、お二人も興味あるかもしれないなと思って「”哀れなるものたち”っていう映画観よっかなって思ってるんすけど〜」とスタッカートのよく効いたボヤ〜誘いをしてみた。
すると「え、自分もこの後観て帰ろっかなと思ってた!」とシンジくん。「それ気になっていました!!」と酒井さん。
最高!!観よう!!と言うことで、ある人はマック、ある人はケバブと思い思いの夕食を手にして、束の間の東横キッズと化した。
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その後、酒井さんがカメラを回し、上映までの時間潰しのための新宿散歩動画を撮った。
その中で幾数十億年ぶりにゲーセンへ行った。
UFOキャッチャーを久しぶりにやってみたら、取れはしなかったものの自分の中に眠る才が微かに垣間見えるプレイができた。
それから「太鼓の達人」が本当に楽しかった。
未だに”夏祭り”の譜面は体に刻まれていることを知った。
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ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督「哀れなるものたち」原題「POOR THINGS」。
上映時間が近づいてくる。いよいよ私たちは新宿のTOHOシネマのエスカレーターを乗って、そのどんどんと地上から離れていく様は、まさにジェットコースターのワクワクドキドキ、いやあらゆる恐怖すらを感じるような期待が高まった。
前情報も入れていないが「これは、絶対に面白い」と言う確信があったのだろうか。
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上映が終わり、目の前がポツッポツと明るくなっていく。
胸に溜まる想いに浸っていると服に落ちた多くのポップコーンたちが姿を現わし、反射的にげっ!と思っていると右側から「これはもう今年の映画決まったでしょう」とシンジくんが言った。
こんな一言で片付けられないが言っちゃった。「わかる」。
本当に自分にとってもかけがえのない映画になった。
ずっと私の大好きな奇妙でキュートなのである。
もちろん、心臓をゆっくりぎゅ〜っとされるようなシーンもあるのだが、ロアルドダールの小説やティムバートン作品が好きな私には抜群の世界観であった。
「マリオワンダー」を全クリした時に自分の作品への触れ方が少し変わった。
それはもろに次のバンドの作品性にもつながっていくので具体的な内容はちょっと控えておきたいが、そこにも通ずるものがあって、嬉しかった。
(映画においてはネタバレに繋がってしまうことが多いのであまり触れられない)
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そんな昨日の映画のことを一日中思い出してしまう今日この頃。
その後の彼らの日常をふと思ってみたり。あの時の心境を勝手に感じてしまったり。
これを読んでくれているあなたもきっと好きな映画だと思うぜ。
とにかくエロ!グロ!ではあるけど、怪物系のグロ!なのでジメジメグロではないので、きっと大丈夫。きっと!(念押し)
こんなメタ的な見方は非常にナンセンスだけど、とにかくマーベルヲタクとしても、出演陣が最高でね。
想像もできなかったアッセンブルがあります。
気になる方はまだ上映も始まったばかりなので、周りの声が聞こえちゃう前に早めに観とくべき作品よ!
やっぱり銀幕より開かれる世界はイカれてて最高だ。
ハッピーを作るには、自分の中の「かわいそう」で色々実験してみることからだ。