自宅に戻る前になぜかスーパーに寄ってしまう。
こんなに寒いし、夜遅いのに、なぜか寄ってしまう。
買いたいものも無ければ、食べたいものも別にない。
野菜の値段の変動を見て、新しいアイスがないかチェックして、10%オフと書かれたおつとめ品の値段を頭で計算する。
デザートチーズを伺ってはまた離れ、冷凍食品の並びを見て「安~」と胸中で言つるだけ。
何がしたいんだか。
結局コーヒーのつまみに甘いものをと90円がさらに値引きされたおはぎと焼きプリンを買って帰った。別にそんな食べたいという欲はない。
何を埋めるためかわからない甘味をバッグに入れて家路を歩いた。
別に無い欲をあたかもあるようにして帰る家路は虚無であった。
〇
今日は昼過ぎに下北のスタジオに入った。とあるライブに向けての秘密の特訓である。
そこで、音を鳴らすよりもとにかくアイディア出しを行った。
去年、一年を通して自分の頭で鳴っている音楽の味がわかった気がした。
その要素となる、きっと辻褄はあってないけど、私の中では確実に繋がっていると思うキーワードを挙げてみた。
すると「あぁ」とみんなでそれぞれの考察を話し合った。
アイディアを出し合った結果、全員に共通する〇〇が見えた。「これだ」。
すると、さっきまでホワイトボードで辻褄の合わなかったキーワードたちがまさに次々結びついていく。
まさに「ゼルダの伝説」のブループリントを使った時のようにバラバラの要素が1つになった。
「あ!これかも.....!!」。
共通のテーマを持って音を鳴らすと、一気にまとまりが生まれ、まさにアンサンブルになった。
このリズムの踊り方。これは少し、雲の切れ間が見えた。
神経があまりにも音を合わせるほうにいってしまい、スマホを床に置いたまま録音してしまった。
爆音でやっていたので地面と振動してしまい音が歪んでしまった。しかし、それがまたすごくよかった。
こういう日はこういったぐうぜんも連れるのである。
スタジオを出ると蜘蛛の子散るようにして解散した。
〇
夜は渋谷に移動してゲーム仲間たちとのお茶会があった。
コロナ渦にふざけて開催したバイト先の身内のゲーム大会がまさかの反響があって、去年お店を辞めるタイミングで第二弾を開催した。
今回はノベルティーと優勝賞品を少し豪華にしようと参加費アリで開催した。
そう、音楽活動で培った企画力をそのままこっそりと「大会」という形にしてみたらどうなるのか?という実践も含めて。
今日は遅ればせながらそれらの作ったグッズを贈呈する日であった。
なので、今日の私のポジションはまさにマッドハッター。
ちゃんとお店に連絡をし、大人数でも行ける場所を導き、きっちりと予約もした。
こんなことなるべく避けたいが、信頼できるゲーマーたちの集いであったためサクサクと進められた。
丁度集合時間に着くと、入り口の階段にもう既に十数人集まっていて何やら慌ただしくしている。
「あれ!?土屋さん、ちゃんと予約できてます!?」
やばい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
予約の名前を「丸山」で取ってしまっていた。
まさに現場はパニック状態。
本当によくない、よくないのだが、電話で予約をする際自分の名前はタ行が多く、確認のターンが多くなってしまうため勝手にメンバーである丸山の名前を拝借している。
この状況でこの数十人にその説明できるわけがない。
慌ただしい空気の中、私は依然とした体裁を放ち階段を上がって、スタッフさんに極めて真摯に「丸山です」と伝えた。
すると門は開かれ、周りの数十人は可視化できる「?」を頭に浮かばせながらみんなでぞろぞろと席へ向かった。
その後のお茶会はすごく楽しかった。
RTAの話題が共通の言語として語られる空間は本当になかなかないものだ。本当にありがたい。
そこそこに自信があった配布物も喜んでもらえ隠れガッツポーズであった。
〇
スーパーから自宅までに伸びる一本道、肩に重力だけを感じながら虚無を行く。
自分にとってスーパーはクールタイムの場所なのであった。
楽しい日こそ、無、つまりは0の状態で部屋に戻っりたい。
これは求める虚無なのである。
常に虚無であることによって、外に出る感動や、部屋なのに別の世界と繋がれるような不思議な楽しさを感じられるのである。
つまりはハッピー虚無なのである。
何を食べたいかよりも、アレンジをこっちに変えたほうが楽しそうだったり、教えてもらったRTAの動画を観たいという遊びの欲に私の身体は司られているようだ。