こしあん日記(Koshiahh’s Diary)

MURABANKU。の土屋慈人の日常系

青梅街道から奥渋谷に抜けると

世の中が終焉を迎えるようなアラームに叩き起こされ「うるせえ!!」と朝8時半に目覚める。

Dアニメストアで昨夜に更新されたアニメを再生して、終わる頃には支度を済ませて自転車に乗る。

 


朝の白い青梅街道をひたすら走る。走る走る。

荻窪からさらに南阿佐ヶ谷の住宅街を潜る。

そして善福寺川の川沿いに躍り出ると、視界がブロック状のものから自然界へと開かれる。

信号が無い道は時間が稼げるのだ。

全力でペダルを踏み込み、木々と空の2色の道を一呼吸で抜ける。

 


下れば現れる初台の鬼の坂道。

朝一で、自転車と共に己の限界を突破していく。

最後の坂を登り切ると、遠き山々の如く青々としたビルの影が見えてくる。

色んな思い出が詰まった幡ヶ谷だ。

心が自然と平和になっていく。

仙石湯、カタネベカリーと一直線の坂を降りて代々木公園へ。

踏切が上がれば自転車勢によるレースの幕が切って落とされる。

2度目の限界を超えて一人になれた奥渋谷の道をぼうっと走る。

呼吸を整えつつabemaビルの隙から道路に出ると、青く澄み渡った渋谷に到着する。

 

片道15kmのこの道が私は好きだ。

そして、この青く澄み渡った渋谷が私は好きだ。

しかし、この道を走る生活がついに終わった。

4年ほど働いたアンテナショップでのバイトを退職したのだ。

 


 


沖縄へ行った時に今の身の回りの当たり前を見直そうと決めた。そして、東京に戻ってから一度自分を暇of暇に持っていこうと決めた。

そして、多大なる迷惑をかけてしまったが、しばらく暇な時間を過ごしてみた。

 

ゲームをやるでもなくアニメを観るでもなく。暇から浮かび上がるものをただキャッチするというのか、結果的に部屋の中の自分の中の自分を掘っていくような時間を過ごした。

 


しかし、だからといって何かをキャッチできたわけでも無い。何かをキャッチできたわけでは無いのだけれど、自分の体力の使い道だけは決めることにした。

 

それが思いつくとスイカゲームよろしくカゴ全体の果物たちが連鎖していった。

身の回りにあるモヤモヤが一気に繋がって、解決できそうな予感がしたのだ。

すぐにバイト先の店長に思い切って連絡をしてみた。するとそのタイミングで翌々月に退職日が決まった。

 


上京した翌日から4年間、思い返せば長い間お世話になった。

しかし、その居心地の良さにこれ以上居たら「安心」になってしまうぞと、一度自分の居場所と感じる空間から離れることにした。

 


これを書いている現在はもう変わった日々を過ごしている。

家から1km以内で所謂コストパフォーマンスの良いバイトに変えた。

こんなに一瞬で変わるもんなんだな。会う人も会話も走る道も生活リズムも。

沖縄で感じた、自分の体力の使いたい方向を信じることにした。

 


 


渋谷の端っこ、知る人ぞ知る隠れ家的なアンテナショップ。

最後の出勤日。いつもふざけるだけで中身のある会話はほとんどした事のない同じ歳のO氏と最後の挨拶を交わした。例に漏れずふざけて話していたら突然「正直な話聞きたいんだけどさ」と一言。

ピタリと止まった空気に、普段糸目のO氏の目が真剣な眼差しに切り替わり、私は胸中でヒィィと慄いた。

 


「ここで4年間働いてさ、楽しかった?つまらなかった?」。

そう聞かれて私も笑みを捨てて、楽しいから辞めるんだよと伝えると「おれも楽しかった」と手が差しに伸ばされ──

 


泣いちゃうんだが!?!?!?

 


握手しながら「なんだそれ!」と思いながらもグッときた。

色んなモノに特化したヲタクたちが集まる空間。やはり私は熱中している人が好きなんだ。

そういった人に囲まれたこの4年間で私はここでちゃんと人間にしてもらったんだなと気づいた。 


最後の帰路に着いた時、いつも以上に夜が濃い気がした。もうこの道を生活として走ることは無くなるのか。兎に角暗かった。

この道はどこに向かっているのか、いまいちわからない。100%でいまいちわからないのだ。

だけども、自分のびびびレーダーだけは光っている。だから、非常にワクワクしていたのだ。

 


変化って実際何かわからない。けれど、何か目的を持って、ある種自分の身を底知れない闇にブン投げていまいちわからないまま走ってくことなのかもしれない。

それができないままの状態が「退屈」なのであり、それがずっと続くと、その目的はきっと死んでしまうのだ。

だから、どっちにしろ一寸先は闇なのである。チーーーン

 


しかし、その一寸先の闇もえいっ!と捲ってみたら、あり得ないくらい最高な出来事があるかもしれない。思い返せば、そういったことの繰り返しな気もしてきた。

いつも以上に真っ暗なのに、私のおでこのびびびレーダーは何か凄く反応している。つまりは無性のワクワクがあるのだ。

 

そんな気持ちに気づきながら暗い帰路にクソが!!と言ってペダルを回した。

何の「クソが!!」かはわからない。けれど、何かそれで少し明るくなるような予感がした。

 



現在、また日常ハードコアにカムバックした。

偏頭痛も起これば、肩も凝るわぁぁぁぁぁぁ。

そして、洗濯機を回すタイミングがない。こりゃ、まいった。

誰にも言えないけど、明日のライブは今日と同z──。

 

これを読んでくれているそこのあなた!きっとそれぞれの日常ハードコアがあるだろう。

しかしね、それを乗り越えて食う飯や、楽しめるイベントほど楽しいものはないね!

きっと私たちはそれを繰り返してしか生きていけないんだろう。

まさに無限1UPしていくしか無いのだ。

 


ああ、兆楽のルースー焼きそばもしばらくはお預けだ。

働く中で最後に見つけられたテーマがあって、今はそれを少し突き詰めようと思います。

いつかの自分も肯定してしまえば全て〈最終回〉になっちゃうぜ。

それぞれの日常ハードコアで見つけた面白いをメモっていこう。

4年間、本当にありがとうございました。